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コラム
 
2026年度診療報酬改定読み解き始め
メディサイト 松村 眞吾

 今年6月に予定されている診療報酬改定については中医協答申も出た。あれこれ解説も出回り始めているが、全体像はなかなか見えにくい。ここでは厚労省のメッセージなどを中心に大雑把な読み解きを行ってみたい 策定中の新しい地域医療構想に深く関連している、というのが押さえておきたいことの第一かと思う。人口減少超高齢化が加速している。年間死亡数160万に対して出産は70万でしかない。人口減少で医療需要は減少に転じ一方で疾患構造は複雑化し、かつ支え手は減っていく。よって高度急性期を絞り込み高齢者救急・地域急性期を強化する、在宅医療の高度化を図るなどが中心テーマとなった改定と理解したい。予想を上回る人口減少超高齢化への焦りが透けて見える。

 看護・多職種協働加算を算定すれば10対1看護配置の急性期B病院の方が、7対1急性期一般入院料1を算定するよりも高い報酬となった。急性期病院Aは尖がった高度急性期病院を意味するが、急性期病院Bは分かりにくい。事例を探してみると「これかな」と思い当たるものが見つかる。大都市部ではあるが、徹底した高度急性期の取り組みで救急受入れを増やしている病院、同じ診療圏内で徹底した地域密着医療を提供し救急受入れ件数も増えている病院がある。前者が急性期A を算定するならば後者は急性期Bを検討するのかなと思ったりする。 前回から高齢者救急が大きなテーマとなっている。急性期需要一般が減少していく中、高齢者救急の取り組みを強化することは、救急に重点を置いた今回改定対応としては、特に400床未満の病院にとって重要課題だと考える。グループ診療を充実させて総合診療機能を持つこと、「下り搬送」受け入れに評価が付いたことを見据えて、またケアマネとの関係評価もあるから、地域連携を強化することが喫緊課題となる。

 注目されて良いはずなのに手薄だったのが「かかりつけ医」評価に関することだった。そこまで手が回らなかったのであろうか。在宅報酬の厳格化があれば「かかりつけ医」機能評価もあって然るべきだが、大きなものは見当たらない。診療所は十分に利益を出しているから自力で対応しろということであろうか。データ提出加算が機能強化加算算定の努力義務となる。病院では既に義務化が当たり前となっているが、診療所外来もそうなっていくだろう。「かかりつけ医」評価の包括化を目指すものか。

 在宅については、高度な医療提供を行う「在宅入院」(フランスの事例などが有名)へと舵を切り出した改定と考えたい。しばらく前から単なる看取りのためだけではなく、在宅酸素や自己注射などの医療処置が評価されるようになっていたが、いよいよ重症患者を診なければ減収になる内容となった。サ高住などでの高齢者患者囲い込みの商法?に対しては厳しい内容となっている。とばっちりを受ける在宅医療機関も出てくるだろう。24時間体制厳格化により夜間休日急変対応を専門企業に出しているところは医師の負担増があるかもしれない。グループ診療強化に励めというメッセージであろう。もはや在宅医療は病院病床にとって代わるべき存在と位置付けられていることを知りたい。

 病院の役割や機能分担については少し分かり難い。上述の通り地域連携は重要化しているが、前々回の改定にあった「重点紹介医療機関」などはどこに行ったのだろうか、と思わせる。救急ファーストタッチ病院は、以前から地域密着の300床クラス(自治体病院などに多い)と考えてきたが、疾患構造の複雑化は医療資源の豊富な大学病院など高度急性期だということになっていくかも知れない。急性期Bの狙いもそこにあるか。地域連携(特に病病連携)がしっかりしたところでは意外に在院日数も短く、「下り搬送」、早期の転院、在宅復帰も実現させている。「救急取り合い」合戦への参画も病院規模、機能によって異なったものになってくる。

 今回改定では考えるべきことが山ほどある。本稿では論点を絞って考えた。プライマリ・ケア重視を目指す欧州がモデルだったと思っていたら裏切られた思いもする。大きな流れは変わっていないと思う。医療費増大(現在、国民医療費50兆円)の事実もある。社会保険料負担軽減が大きな課題になっている。今回は高齢者救急・地域急性期の体制をつくるために手当されたところが大きいように感じる。経営統合の流れが増す400床未満の病院にとって選択肢が限定されてきた。診療所は本気で病院に代替する機能を考えなければならなくなっていく。成功する報酬改定対応は、そんな方向だろうか。しんどいことではある。

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