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コラム
 
2018年診療報酬改定を読み解く @病院経営はどうなるか
メディサイト 松村 眞吾

 今回の診療報酬改定での大きなトピックスの一つは急性期入院評価の再編成であろう。
7対1、10対1看護配置のストラクチャー評価を基本にした2段階評価が、診療実績を絡ませた7段階の急性期一般入院基本料となったわけだが、これは急性期評価を厳格化するものとして病院経営に大きな影響を与える。それだけではない。地域包括ケア病棟は「自宅等」からの入院は評価するなど、急性期入院の帳尻合わせのような同一法人内転院・転棟をけん制する内容となった。

 重症後、医療・看護必要度の見直し、従来からの在宅復帰率の在宅復帰・病床機能連携率への改称などからも、機能分化、特に急性期病床の絞り込みは、上記の入院評価の再編成と合わせて、一気に進む可能性が出てきた。また、200床未満10対1看護配置病院、回復リハビリ、療養期におけるデータ提出加算の義務化は、DPCにおける調整係数から機能評価係数Uへの移行完了などと合わせ、データによる病床機能評価がより進むことも考えられる。病院入院評価においてアウトカム評価はスタンダードになったと言える。

 大規模病院は400床以上とされて、200床以上400床未満の中堅病院の役割も問われるようになる。いわゆる市民病院はこの規模が多いが、もろもろ分析すれば、市民病院といえども急性期中心ではなく、在宅医療など地域医療支援の役割と機能を果たすことが求められていくと解釈したい。急性期でなければ医師も看護師も集まらないと、病院経営者はよく言うが、超高齢化による疾病構造の変化、慢性化や複数疾患、免疫低下などは急性期の需要そのものが減少していくことを予言する。地方ではそれが現実となってきつつある。

 16年改定でも病院経営の悪化は始まっていた。今回の改定は急性期からの転換、在宅移行と支援、病病連携、診診連携に能動的に取り組まない、取り組めない病院への引導を渡すものとなるかもしれない。有名病院でも今まで気付いていないところがあったが、流石に転換は始まっていくだろう。限られた存在の急性期病院、中堅病院であれば地域医療支援、中小病院であれば「かかりつけ」医機能(地域包括診療料の改定はそれを促している)と役割、機能分担が明確化されていくだろう。

 機能分化・強化と連携というテーマがこれだけはっきりと示された改定はなかった。高度急性期以外の病院経営としては、在宅医療(または在宅医療支援)への積極的な取組みを含む地域医療の取組み、診療所と組んだ「かかりつけ」医機能強化または「かかりつけ」医支援を積極化したい。「かかりつけ」医を担うとする診療所への働きかけを強化していくことが必要となろう。開業医診療所が、それに対応するかどうかが次の課題となってくる。

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