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コラム
 
2018年診療報酬改定を読み解く A診療所経営はどうなっていくか
メディサイト 松村 眞吾

 今回の診療報酬改定における診療所関係の課題は「かかりつけ」医機能の強化と在宅医療の一層の促進ということであろう。病院入院評価の改定内容は、在宅需要の増加を意味する。在宅医療患者の増加だけでなく、予防や糖尿病重症化予防など「かかりつけ」医機能の充実・強化が地域医療のとっての課題ともなってくる。診療所は地域における「かかりつけ」医としての役割を、今まで以上に期待されていくはずである。

 具体的な「かかりつけ」医評価はどうなっていくのか。「かかりつけ」医機能評価である地域包括診療料と同加算は、常勤医2名が常勤1名かつ常勤換算2名となるなど要件緩和が行われ、外来患者から在宅に移行した患者数が10人(在宅療養支援診療所の場合)以上であれば報酬増になるなど、一定のテコ入れが行われた。在宅医療に関しては、要介護2以上など重症患者の医学管理に包括的支援加算という加算が設けられ、月1回訪問の評価充実、複数医療機関による訪問診療評価の評価などが手当てされた。果たして診療所は「かかりつけ」医機能を強化し、在宅医療への取組みを増やしていくものだろうか。

 この他にも医療介護連携の評価充実などが図られた。追い風ではある。しかし、それでもなお基本となる24時間対応の負担感、診療所にとっては算定しやすいはずの地域包括診療加算の点数を考えると、なかなか、その気にはならないというのが本音ではないだろうか。実は200床未満の中小病院は、地域包括ケア病棟でも自宅等からの入院が10%以上であれば優遇されるなど、中小病院の「かかりつけ」医機能への誘導が図られている。地域包括診療料改定内容も中小病院に対する算定促進と読めるのではないか。地域包括ケア病棟はサブアキュート機能の役割評価が注目された。こういった状況を診療所経営者は理解、認識しているだろうか。

今回改定を機に市民病院などは地域連携室を強化してくると思われる。実際、300床規模の病院で在宅療養後方支援病院を届けようと準備中の例もある。病院側の連携強化の働き掛けにどう対応していくのか。「かかりつけ」医機能を第一線で担うべき診療所の存在が問われる改定となったと考える。24時間対応、重症患者在宅医療における後方支援の必要性から、診療所経営も中小病院と連携し、中堅病院の後方支援を受けながら「かかりつけ」医機能を充実させていきたい。2020年改定までの2年間が機会である。

 大多数の診療所にとって、苦労してまで「かかりつけ」医機能強化と在宅展開を考えるのはストレスでしかないかもしれない。借金を返し終わっている開業医診療所にとって、リスクを取る必要もないと思うだろう。それでも迫り来る外来需要減少時代に備え、地域医療への貢献を図るために、一考してみたいと考える。認知症ケア、糖尿病等重症化予防、介護連携、さらには障がい者福祉との連携も視野に入れろと国は言っているが、いかがであろうか。とりあえず身近の中小病院との関係を強化していきたい。市民病院などの連携強化の働き掛けを受け止めていきたい。

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