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コラム
 
地域急性期病院の経営改革−人がイキイキするためにも
メディサイト 松村 眞吾

 最近になって急性期病院の経営悪化が目立ってきた。病床利用率の悪化が目立ってきている。DPC病院では、調整係数から機能評価係数Uへの移行が完了して、係数の重要性が増しているが、係数を上げていくことは簡単なことではない。入院評価が看護配置に加えて診療実績が要件となってストラクチャー評価からアウトカム評価へと転換した。当面の影響は小さいかもしれないが、診療報酬を重ねていく度に厳しいものとなっていくだろう。急性期病院の経営戦略も大きく変わっていかなければならなくなった。

 地域包括ケア病棟や回復期病棟を増やして欲しいと国は望んでいるが、入院単価を考えれば急性期に拘りたくなる、やはり急性期は病院の華であり、医師も看護師も急性期だから集まる、と考えている病院経営者時は多い。ただ医療資源の短期集中投入が言われる中で、病床利用率が問題となる。空床を埋めるべく救急受入れを積極化しているところも多いが、無理な救急受入れが病棟の疲弊を招いていると聞くこともある。急性期病床が余ってきたということであろう。兵庫県などでは病院統合再編が進んでいる。急性期の将来はどうなのか。今さら冒険はしたくないと、現状維持を望む経営者が殆どだと感じるが、問題ないのであろうか。

 機能評価係数Uを上げるには、結論から言えば診療密度を上げることしかない。そのためには医療資源の短期集中投入がキーポイントであり、一定の治療を終えた患者を送る先の確保が重要となる。病床利用率の低下に関しては、外来には期待できない(外来抑制策が採られている)、救急受入れは各病院が競争のように取り組んでいる、となれば紹介入院を増やすしかない。そうすれば予定入院も増えて病棟の疲弊も減じることが可能となる。「働き方改革」の時代に相応しいことかもしれない。

 集約的に喫緊の問題となっているのはヒトのことである。重要性を増しているのは地域連携である。地域連携は地域包括ケアに参加することも意味する。まちづくりへの関与もある。急性期機能一本槍ではなく在宅医療支援も考えたい。超高齢化で疾患構造が変わってきているから、それが地域の医療ニーズである。病床利用率が低迷する、人が辞めていく、そういった悩みは対症療法的に策を講じるのではなく、地域連携を充実させる中で、地域ニーズに対応できる医療の提供、地域連携やまちづくりで仕事を楽しいものとしていくこと、それが経営向上の鍵となる。

 ある病院の地域交流新年会ではニューハーフのショーが行われた。入院患者も介護施設の利用者も、もちろん職員らも大喜びであった。突飛なことではない。急性期の拘り過ぎず、地域と歩調を合わせ、種々の連携を組んでいくことが、増患と職員のモチベーションを高めている。そこまで見えなければ、長期的な生き残りにならないと考える。

 
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