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コラム
 
コロナ新型肺炎の対応を考える
メディサイト 松村 眞吾

 中国武漢から世界中に広まった新型コロナ肺炎の感染拡大が深刻な問題となっている。基本的には、@新型の大型感染症であるが、一般的な重症化リスクは低いと見られる、Aただし高齢者や基礎疾患を持つハイリスクの人々への感染予防、重症化予防に留意する必要がある、B感染予防は手洗いが最重要、C喚起の良くない密閉空間における濃厚接触に注意する、D何よりも睡眠と栄養が大切である、などのことを押さえておきたいと考える。

 過剰に恐れることはないが重症化リスクの高い人々を守る必要がある、ということや、集団感染の可能性を潰していく必要がある、などが考えるべきことであろうか。医療経営上の心得るべき点としては、@診療指針について情報を収集し適切な体制を組む、A医療資源の有効な活用を考える、B事務職や出入り業者なども含めて感染管理を図っていく(厚労省事務通達にあり)ことだろう。特に診療所レベルでの体制構築は困難と考え、新型コロナ肺炎疑いについては診療所での対応は避けるべきだろう。一方で医療資源の有効活用ということに関して言えば、軽症が8割ということは、今の日本の医療資源で対応可能ということを意味する。不安になった全ての人々が限られた医療機関に殺到したらどうなるのか、を考えたい。

 日本の医療は高度な水準にあり、それが致死率の低さにもつながっているのではないだろうか。あくまでも執筆段階(3月5日)における数字での判断であるが、この医療水準を維持するためには、機能分化を徹底させて、急性期医療を壊さないようにしなければならない。同時に「だから急性期病床は削減すべきではない」などという意見が飛び出してこないだろうかという心配はある。医療に「完璧」はない。関係者には当たり前のことだが、一般の人々はそうではない。軽症者まで急性期病棟で対応することは、医療資源の払底を招きかねない。

 インフルエンザくらいなら家で休養しとけ、というイギリスのGP(家庭医)は言うと聞く。急性期医療を守るために、医療経営関係者もしっかりと発信しなければならないだろう。
 上の議論は、やや矛盾したところがあると自己認識する。診療所では対応できないと言い、急性期の医療資源を有効に活用しろと言う。ただ、焦点をハイリスクの高齢者らに集中する、そのことを、一般世間を含めてコンセンサスとしなければならない。

 あと幾つかの、当たり前としなければならないことがある。@テレビ会議などのテレワークを導入していくこと、単なる導入ではなく仕組み化していくことが重要である、A医療機関で働く人々、特に医療者の精神的負担をどう軽減するかをしっかりと考えること、である。  

 
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