家庭医のクリニックづくりと、そのネットワークを支援しています

ホーム 会社概要 事業概要 お知らせ コラム リンク
コラム
 
 わたしの診療理念   
  今井はーとクリニック
院長 今井 克次 氏 

わたしの診療理念

 初めに私が開業するに至った経緯からお話したいと思います。少し長くなりますが、診療に対する私の考え方をご理解いただければ幸いです。

開院の理由

その具体像は人それぞれ異なるでしょうが、私にとってのそれは、優れた知識、見識、人格を備え、患者さんが安心して頼ることができ、同時にふんわりと包み込めるような、大きくて柔らかなクッションのようなイメージです。これまでも、そして恐らくこれからも「いいお医者さん」になることを目指し、そのことをモチベーションとして生きていくと思います。

  一方、医学部を卒業後、5年間の研究生活を含めて約20年間循環器専門医として勤務してきました。とくに最後の10年間は地域における「最後の砦」としてのいわゆる「大病院」において、循環器診療の最前線で診療に携わってきました。現在の細分化された医療システムの中で専門医の重要性はいうまでもなく、私自身専門医としての自負をもって臨床を行ってきたつもりです。

 しかし、専門性を求められるが故に目標とのジレンマを感じるようになってきました。例えば「動悸」を訴えて受診された患者さんにあらゆる検査を行い異常所見がなかった場合、それだけで苦しみから解放される患者さんがおられます。一方、「異常なし」という結果が出た時点で専門医としての診療は事実上終了となります。そのため解決への扉が閉められたように感じ、結局苦しみから脱出できないままの方もいらっしゃるのです。すなわち、「大病院」の「専門医」としては最善を尽くし、その役目を果たしたかもしれません。

 しかし、真の意味での臨床医(=「いいお医者さん」)の仕事としては不十分であり、「異常なし」というのは医者側の論理、つまり医者の自己満足に過ぎないのではないかと考えるようになり、同時に西洋医学の限界も感じるようになりました。「いいお医者さん」になるためには、「人体」のあるパーツ(=臓器)に対する専門性を持ちながら、同時にその「人間」全体をみる(=全人的医療)ための「引き出し」(=「治療法」)をたくさん持つことが必要であると考えるようになりました。多くの治療の引き出しを持ち、各個人ごとに適した診療(=テーラーメイド医療)を提供するために、在職中から漢方やカイロプラクティックなどのいわゆる「代替医療」(この呼び方は西洋医学の傲慢であると考えていますが)の勉強を始めました。しかしそれらを実践するためには、勤務医としては限界があることから独立することを決意し、2005年4月22日に開院しました。

診療の基本コンセプト


 その実現のためのお手伝いに臨む我々の基本となるキーワードが「はーと」です。「今井はーとクリニック」という名称には、心臓専門医という意味以上に、思いやり、やさしさや温かさのあふれたクリニックでありたいという気持ちが込められています。

 実際の診療におけるキーワードは「総合力」です。具体的には、西洋医学をベースに、東洋医学や当院独自のリハビリ部門の特長を生かしベストミックスすることにより、個々の患者さんに応じた医療を提供するということです。西洋医学は長足の進歩を遂げており、その重要性がますます重要になることは間違いありません。それでも西洋医学の不得手な分野はやはり存在し、決して万能ではありません。また西洋医学は「木を見て森を見ず」に陥りがちです。その足らざる部分を補うためには、なるべくたくさんの治療法を持つことが重要です。効果があるとされている治療法は、少なくとも安全性に問題さえなければ、他に方法がなく藁をもすがる思いの人に対してトライしてみる価値があると考えています。それを新たな治療選択として導入するかどうかの見極めをするのが私の役目であり、知識、見識そして責任が問われるのだと思います。さらに、各個人に応じた治療の引き出しを選択できることが医者の技量であると考えます。

 これからも「森を見て木も見る」診療を心掛けていき、同時に家庭医として地域に対していかに貢献していくかを考えていきたいと思います。

ページの上へ