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コラム
 
 開業5年で収入が伸び悩み、10年で開業医生活に飽きてくる? 
  メディサイト 松村 眞吾

 開業医の先生方を訪ねて歩くことがある。先生方の言葉を聴くと、開業3年目くらいまでは収入面での不安を、5年目くらいで経営は安定したが患者数の伸びが止まってきたという実感を、開業も10年を経ると「刺激のない生活」への飽きを語る傾向がある。競合の増加などで先行き不安を感じるが、何とか3〜5年を経ると安定し、安定は良いのだが、逆に苦痛となって来る、そんな感じだろうか。

 歯科の世界は競合が多すぎて大変なことになっている。医科にも、そんな波が及ぶのではないかと漠然とした不安を抱く開業医の先生も結構多い。医師不足といわれるが、開業医の世界では、経営不安の予感が先に立っている。民主党政権下においても、開業医の診療報酬が大きく増えることは考えにくい。一方で勤務医の時代と違った、孤独な診療生活を送っていることの不完全燃焼感も残っている。

 あるクリニックでの話である。開業6年になるが、患者数は伸び悩んでいる。在宅診療を本格化したいのだが相談に乗って欲しいということで訪ねたのだが、院長は「医者が一人、外来で出来ることは一巡したし、外来診療だけでは限界がある」と話した。それに対して、ミーティングに同席したスタッフが反応した。「だから一般のお店は新しい商品を並べて、新しいお客さんを呼ぶ努力をするのですよ」。腑に落ちた。

 在宅への進出は有力な選択肢であるし、地域の高齢化を考えたとき、必要なことであると考えるが、それだけが新規展開だと思っている開業医があまりにも多いように感じる。十年一日がごとくと思っていても、地域の高齢化は確実に進んでいるし、医学も進む。新しい知識の獲得を怠っているとは思わないが、時代に応じた新しい取り組みを
工夫する開業医は意外に少ない。専門外来の開設や健診への注力、メディカルフィットネスなどコメディカルを使っての取り組みなど、思いつくことはいろいろある。

 「HPを作っても患者さんが増えるわけじゃない」、「往診しますと告知しても、ニーズはない」、「専門外来の予約は伸び悩んでいる」と反論はいっぱい出てくる。少し視点を変えてみることを勧めたい。飲料メーカーの商品開発担当者は新商品の成功率を2%とみるらしい。簡単に新商品が売れるわけではない。ユニクロの商品は、東レなどとの共同開発の賜物、つまり手間暇がかかっているから売れる商品となる。要するに新しい試みは簡単なものではないということを知りたい。

 しんどいことである。しかし開業とは事業主になることであり、事業主とは、本来的に飽きることなどない奮闘の日々を送ることである。座して悩むより行動が必要であり、いろいろな取り組みをしていくならば「飽きる」ことなどないと考える。仮説検証と試行錯誤を繰り返す日々があるのみと思いたい。

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