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コラム
 
病院経営企画室長への道(第1回)
I氏
社会医療法人病院経営企画室長
 私はとある町の中規模病院の初代の経営企画室長です。今から数年前に私と経営者(理事長)が必要性を痛感して一緒に立ち上げました。医療業界というのは他院の成功事例を自院に導入するという気質が強い業界です。当院と同じように、経営企画室もしくは経営企画部や経営企画課を新しくスタートさせた病院も最近、よく聞くようになりました。すでに先輩、経営企画畑の諸先輩方もおられ、私のような数年目の駆け出しが偉そうなこともいえるはずはありませんが、日々の雑感を通し病院の経営企画のおもしろさと難しさを感じ取っていただければと思う次第です。

 さて私たち(あえて経営者と私をこう呼ばせて下さい)は、これからの病院は運営を主に行う事務長と、病院の将来戦略を考える経営企画室長の二人で旧来の事務長の役割を分割する時代であるという共通認識から導入に踏み切りました。これほど医療行政が猫の目のように変わり、求められるニーズが時々刻々と変わっていく時代において、一人の事務長がそれをすべて担うには限界があります。そこで機能を分化して事務長=運営、経営企画室長=計画企画と分割し、その統括を経営者である理事長が行うとしました。二頭立ての馬車のような方式をイメージしていただけるとよいと思います。

 もちろん運営は旧来どおり事務長が担いますからある意味、事務長がCOO(最高執行責任者)として全面に出ます。経営企画室長は理事長の経営パートナーとしての黒子に徹します。また経営企画室長には医事課の経験者が望ましいと思います。300〜400床規模以上の病院になると医事課長から事務長への昇進は正直あまり聞きません。せめて事務次長でストップです。よって医事課のキャリアパスとして経営企画室長つまり旧来の事務方トップの双璧の一つを目指すというポストがあることは将来の励みにもなるでしょう。私自身も甲乙表時代の医事課員です。

 プロローグの最後に若手病院事務屋の皆さんに是非、忘れないでいて欲しいことがあります。よく「自分に権限が与えられればできるのにと思っている」だけの人がいます。しかしほとんどの場合、その立場や権限になっただけでは、実現することは困難だということです。組織の上で一番難しいことは「下から上を動かす」ことであり、こんなワクワクするエキサイティングな仕事はありません。裸一貫の「今」、そのことができないのに、在職年数をただ重ね「その時」になっても、結局、何もできずグズグズしている間に評価が落ちて将来が詰んでしまいます。幹部になれば後戻りはできませんから、自然と淘汰される運命になります。チャレンジできるのは「今でしょ?」ということで、では次回。

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