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コラム
 
2014年診療報酬改定−地域連携の強化で能動的対応を
メディサイト 松村 眞吾
  消費税増税に伴う「社会保障と税の一体改革」が本格化したこともあり、来年春の診療報酬化改定に向けた動きが早くも盛んである。2025年、団塊世代が75歳以上の、いわゆる後期高齢者となっていく時期を着地点とする医療制度改革の動きが、次回改定に色濃く反映されている。細部に注目する「点数取り」、つまり「せこい」収入確保策では対応できないと知りたい。病院でいえば重篤患者が少ない7対1看護配置、診療所でいえば看取りや緊急往診実績のない在支診(在宅療養支援診療所)などは、減算の対象になるとみて良い。

 大胆に言ってしまえば、次回改定は以下のようになる。急性期は大きく絞り込まれ、回復期や療養期は在宅復帰と在宅支援の機能を強めるよう迫られる。診療所は主治医機能評価ということでかかりつけ医としての働きを求められ、もちろん24時間対応の在宅にも注力せよ、ということになるだろう。200床の中小病院は在宅を自ら手掛けよ、という誘導となる。強化型訪問看護として例えば看護職5人以上の訪問看護事業所を評価するという動きも、中小病院法人による訪問看護事業所開設を促進したいという狙いだろう。亜急性期の機能は議論の余地が残っているが、急性期の絞り込みに関係することは間違いない。

 今般、特に500床以上の大病院において、紹介状なき初診患者などの外来抑制が強化されるが、こういった急性期大病院では在院日数短縮圧力の増大と合せて病床稼働率の低下が目立ってくる。急性期病院の多くは前回改定で救急強化に乗り出している。外来抑制があり救急は既に手を打って、となると残された入院患者確保策は紹介患者の増加を図ることしかない。地域連携の強化である。しかし病院経営者の動きは鈍い。開業医ら診療所経営者側も病診連携について意外と鈍感である。大学医局つながりで紹介・逆紹介があると決め付けていたりする。それは一昔前の話になりつつある。

 病院は急性期も回復期も挙って紹介・逆紹介を増やしていくことを迫られる。特に急性期にとっては、きつい改定になるのではないだろうか。地域連携の強化が急務であり、急ぎ取り組んでいかなければならない。中小病院や診療所にとっては攻める好機である。「機能分化と連携」という言葉が「機能分化・強化と連携」に変わった。機能にブラッシュアップが必要となる。医療資源の調達と投入をよく考えてみたい。

 病院では多職種チームがポイントとなる。診療所は看取り対応、24時間対応が言われる中で何らかの形でグループ診療の体制を採っていかなければならない。3月4月から対症療法的に動くのはあまり感心しない。地域連携の強化、これが最大のポイントとなろう。これは多職種チームで動く世界であるということも心得ておきたい。


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