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コラム
 
薬剤師の役割、事務の役割
メディサイト 松村 眞吾
 主にはDPC病院の話である。前回診療報酬改定から薬剤師の病棟配置に加算が付いた。病棟薬剤師の役割って何だろう?多くの病院で「週20時間以上」とされる算定要件に戸惑いが走った。逆に薬剤師は薬剤部において何をしていたか、何をすべきか、を考えたい。調剤業務は病院薬剤師の仕事か?医薬分業の流れがあり、多くは薬局薬剤師の仕事となっている。SPD(医薬品管理)だろうか。SPDは基本的に物流の一環であり、専門業者に委託する方が質も効率も高い。となれば、やはり医師に対するコンサルテーションではないだろうか。薬剤師でなければできない仕事、それは薬学的介入だと言える。

 既に一部の病院で取組みが拡がっている。薬学的介入とは服薬管理から処方設計、処方提案など、薬剤師の診療参加である。このことによって、確実に医療の質は上がり、そしてジェネリックの適切使用が行われるなど効率化にも貢献する。もちろん医師の負担軽減にもなる。何よりも薬剤師の役割が明確化することで、薬剤師のモチベーションが大きく上がっている。管理栄養士にも同じような動きがあると認識したい。

 さて事務職である。お医者さんになりたい、看護師になりたいという子供はいても、病院の事務で働きたいという子供はいない。しかし病院事務職は重要な役割を担っている。
もちろん医事(医療事務)が基本となる。その理解・認識だけでは十分でなくなってきた。

DPC病院は多くのデータを取り扱う。経済界で流行の言葉でいえばビックデータの世界だ。疾患別のシェアをグラフ化することも簡単にできる。救急と複雑性(どれだけ重篤な患者を診ているか)を二次元グラフ化すれば、自分のところの病院が他と比べてどんなポジションにあるかが一目瞭然で分かる。地域内での自院の位置を知ることができ、同様の経営形態を持つ(例えば自治体病院)他院との比較で何が経営課題であるかが分かる。データ分析というより一歩進んでデータマイニング(読み込んで経営問題・課題を明らかにする)のスキルが求められる。

 データマイニングのスキルを持つのは診療情報管理士有資格者である。ここで事務職の新しい役割が明らかとなる。管理士を病歴管理など専門業務に従事させるだけではもったいなくはないか?DPC病院では機能係数なども収入に影響する。医事課も係数に関与しなければならない。医事課にも管理士有資格者が配置され活躍しても良いはずである。ある人は、管理士は病院事務職のゼネラリストであると言った。言い得て妙である。医療職は医療に責任を持ち、事務職は病院全体の位置を明らかにして医療職に方向性を提案する。

 各職種がプロフェッショナルとして役割を持ち、それを認め合うことによって事務職を含めた多職種チームが機能する。専門性を盾にとる協調性なきタコ壺組織は、経営を危うくしかねない。コミュニケーションが必要条件だが、そういった組織を作っていくのが経営者の責務となっていくだろう。


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