家庭医のクリニックづくりと、そのネットワークを支援しています

ホーム 会社概要 事業概要 お知らせ コラム リンク
コラム
 
地域包括ケアと街づくり−地域連携の考え方、作り方
メディサイト 松村 眞吾

 地域包括ケアシステム構築の動きが、いよいよ本格化してきた。動きは急であり、日々、景色が変わっていっている。筆者も医師会などで講演を依頼されることが多くなってきた。
在宅医療を充実させていくためには、多職種協働・連携はどうやって進めていくか、ワークショップも織り交ぜながら参加者の意見も頂く。地域包括ケアシステムの重要テーマとされる在宅医療充実と多職種協働・連携については、必要性の認識は広がりつつある、と言えるだろう。

 医療介護職の方々において理解が未だ十分ではないところもある。一つは地域包括ケアの継続性を担保するための組織の仕組みをどう考えるか。行政なのか地域包括支援センターなのか医師会なのか医療法人なのか社会福祉法人なのか、あるいは社協(社会福祉協議会)のような組織なのか、主体・事務局を担う組織のあり方を考えなければならない。今一つは、この組織のあり方に関連することだが、地域連携のことである。つまり地域コミュニティとの関係作りについて、気付いているところもあるが、まだまだ多くの地域で理解・認識されていない。

 ある地域では住民の参加意識が希薄と嘆いている。ある地域では地域包括支援センターのマネージャーが「地域の問題の相談窓口が大事」と言っている一方で「医療には関係ない」という意見が出る。何れにしても言えることは、医療介護の関係者の視野に「地域」が入ってこないことだろうか。悪口ではない。多忙ということもあって、他の世界との交流が限られているということなどが背景にある。

 病院などが行なう健康セミナーなどの地域住民向けのイベントもあるにはあるが、参加者は「常連」ばかりというのが多くに場合の実情だろう。関心を持ってもらいたい住人は関心を持ってもらえないと、どうしようかということになる。一方で医療福祉サービスを必要としている人々に、必要な情報、サービスが届いていない。関係を作っていくことが熱望される。問題はその方法ということになる。

 答えから言うと街づくりへの参加ということになる。地域コミュニティなど存在しない、としたり顔でいう人間もいる。果たしてそうなのか。地域の方々と交流してみたことがあるのか。社協は医療介護と地域の橋渡しをしてくれる可能性がある。コミュニティソーシャルワーカーという地域の問題を解決すべく活動している職種もある。団地再生や商店街の活動と医療介護は関係ないのか。在宅移行が加速化する中、地域へどんどん出ていかなければならない。そうでなければ医療も介護もあり得なくなる。

 街づくりとの協働=コラボを考えてみたい。いろいろな団体と個人が地域に活動している。お互いに助け合うという「互助」は不可能ではない。病院経営者が地域の経済団体に入っても、それが営利活動に踏む込むということと同義ではない。具体策はいろいろある。
紙幅の問題があるので詳しくは別稿に譲るが、実践はいろいろ試みられている。 

 

ページの上へ