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コラム
 
 「人」がポイント   
   メディサイト 松村眞吾

 医療・介護の現場を歩き回ってきた。町中のクリニックから大病院、先進医療の現場、介護分野ではヘルパー派遣事業所から特別養護老人ホーム、そして障害者施設まで、多種多様な現場である。「現場で論理的に考える」をモットーにしている私にとって、机上の理論だけではなく現場での仮説検証がコンサルタントにとっての重要使命と思うわけであり、実際に現場で確認できたことの意味は大きいと思っている。そして痛感していることがある。

 医療も介護も人が人にサービスを提供する。生活と命をかけた最前線が「現場」である。患者と家族に希望を与える高度医療、ITが可能にする新しい医療の形、新しい「仕組み」が可能にする経営の新展開など、人目を引くトピックスは数多い。制度もどんどん変わっていく。今、議論されている介護保険制度改革は、実現すれば介護の世界を大きく塗り替えるであろう。技術、制度、新しい仕組み‥医療と介護の世界は希望と懸念に溢れている。しかし断言したい。最新技術も制度改革も新しい仕組みも脇役でしかない。血管内治療を行うクリニック、治験に取り組む医療人、インターネットでカルテ閲覧する仕組みを実践するクリニック、介護予防を謳う新しい介護保険への対応に悩む介護事業経営者など、挑戦する多くの医療・介護関係者たちと対面してきた。そこで見たこと、確認できたことは何なのか。それは「人」の大切さである。

 成功事例を追いかけてみると不思議なくらい同じ答えが見えてくる。働く人を動機付けること、病む人、介護を必要とする人に対して「当たり前」のことを実践すること。医療現場で働く様々な人に「学習と成長の機会」を与えることが、患者や要介護者に対する「当たり前」のことの実践を可能にする。「金」が可能にすること、技術がもたらすもの、理論が明らかにする因果関係はたくさん見聞きする。一方で診療報酬を追い掛け回しているうちに患者の離反を招いたり、新しいことを始めるのに形だけを真似て失敗する、そんな例は枚挙に暇がない。

 医療・介護の現場で働く人々は仕事に対する意欲が高い。成功例では、それをうまく刺激してチームを作っている。給料が人事・労務問題だと思っている経営者は木を見て林を見ていない。患者や介護を受ける人々とその家族に対しては聴くこと、そして説明責任が重要である。待ち時間が最大の問題と思うだけでは「気持ち」が見えてこない。「当たり前」のことを「当たり前」にすることは、実は難しい。「人」が鍵を握っている。歩き回っての確信である。
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