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コラム
 
楽しい医療経営
医療法人おひさま会
理事長 山口 高秀 氏

 医療機関経営って言えば非常に仰々しい印象がありますよね。内容は、患者数の話であったり、人間関係の問題であったり、医療安全であったり、その中に様々な課題があると思います。
でも、集約すると、
・世の中の流れがどうなるのか
・自分たちのやりたいことが何なのか
・自分たちのできることが何なのか
この三つをうまく組み合わせるために、一体何をどうしていけば良いのか、つまりは自分も含めたスタッフたちやお金や物を用いて、資源配分を考えていくことが経営そのものではないかと考えています。

 僕のやっている在宅医療の分野では、世の中の流れとしては、どんどん高齢化が進んでいき対象となる患者はどんどん増えていくことが予想されていますし、財政は逼迫していっていますので、なんとか病院にお世話にならずに安いコストで、しかも社会不安にならないように満足いくような形で多くの患者を管理していくことが求められることとなります。
 僕たちが理念に掲げているのは、安心で安定した療養生活をできるだけ多くの場所で、ですので、この分野はど真ん中です。なので、世の中のニーズと僕らのやりたいことは在宅医療の分野ではピッタリ一致しています。

 そして、僕らのできることは何なのでしょうか。僕は医師として活動できますが、それだけでは、これらを実現することは不可能です。僕らの場合には、在宅医療専門の事務スタッフを作りましたが、これを効率良く組織的に運営するには一定の規模が必要になりますし、一定の規模になるには、経理や人事の仕組みも必要になりますし、情報の整理ツールも必要になります。これによりできることを増やしていきます。
 最初は、医師一人と事務スタッフ1名と医事スタッフ1名と手書きのカルテとレセプトからはじめましたが、これらに向けてひとつひとつ様々なやり方を学んだり、学べない時には自分で作ったり、仲間たちに動いてもらうために、経営者としてのリーダーシップを磨いたりしつつ、前に進んでいくことになります。組織として、多くの人が活動に携わることになれば、業務にモレが見つかったり、ムラが出たり、思いにズレが出たりしてくるので、これらを解消していくために組織の仕組みを考えたり、教育する仕組みを考えたりしていきます。

 こう書いてくると、まさに、終わりのない作業を延々とやることになっていくのがわかると思います。まるで、永久に完成しそうにない粘土細工や絵を作り続けているような感じです。ただ、経営者は、この作業を、苦しい道のりと感じるのではなく、心から楽しんでいかなければいけないと思います。もちろん、すべてうまくいくはずもなく、時には大きく崩れたりして、作り直しを強いられることもあるでしょう。楽しむどころが、恨みつらみも出てきて、怒り心頭になることもあるでしょう。
 しかし、振り返ってみてください。そもそも、世の中に期待されていることで、それを実現する能力を自分たちが身につけ、しかも、それが自分のやりたいことと一致しているとするならば、本来楽しいに決まっている作業のはずです。

 もし楽しさが失われそうになったら、この三つが重なる部分を、もう一度見つめなおしてみてください。その重なりを、輪郭を、はっきりと意識し、その重なる部分の中で浮かんでくる未来が浮かび上がってくれば、また、やってみようというワクワク感が心の底からまた湧き上がってくるのではないでしょうか。
 楽しく医療経営をする上で大切なのは、永久に完成しないこの作業を、自分が一番楽しむことができるかどうかではないでしょうか。

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