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コラム
 
Knotworking (地域の緩い結び目作り)と病院経営

 当院は、和歌山県和歌山市鳴神という地域にあり、車でJR和歌山駅から15分、和歌山インターチェンジから10分ほどの場所にある。病床数は80床の小規模病院で(内訳は医療療養病床51床・地域包括ケア病床29床)、慢性期・回復期医療と在宅医療に力を注いでいる。病床稼働率は94〜95%を維持し、在宅医療については当院のみで100近く担当する。さらに、3つの病院・8つの診療所・2つの訪問看護ステーションが連携する『わかやま在宅医療ネットワークグループ』を作り、和歌山市内で年間10,330人の訪問診療(2018年度実績 緊急往診195件、在宅看取り148名)を行っている。

 当院が所在する和歌山市は、県庁所在地にも関わらず2060年にはピーク時の人口の約半分になると予測される人口減少が深刻な地域である。経営課題としては、今後の患者数確保や、少子高齢化に伴う職員の確保等が考えられ、地域のニーズに柔軟かつ迅速に対応できる組織醸成がこれらの経営課題を解決する糸口になるのではないかと考えられる。

 当院では、2015年10月、地域の健康とコミュニティを支援する『なるコミ』(和歌山市鳴神にあるコミュニティの略)を開設し、和歌山薬膳ランチの提供(外来食堂)、地域のボランティア講師が行うヨガ・フラダンス・将棋教室・キッズプログラム・なるコミ体操、鳴神ファーム(市民体験型農園)、医療と介護の未来塾、子ども食堂、がんサロン、認知症カフェ、地域の相談窓口等様々な取り組みを行っており、月の利用者数は1200にも及ぶ。この地域に開放し多世代が交流できる場は、ノットワーキング(knotworking)=地域の緩やかな結び目作りとして活用され、新聞や雑誌の取材等は年に20件を超える。そして、普段から常に当院職員も地域交流や地域貢献に尽力することにより、地域のニーズに柔軟に対応できる力を育みはじめている。さらに、地域貢献に力をいれる病院として認識されることで、医師・看護師・セラピストなどの職員がどんどん集まり求人に費用をかけることがなくなったことは病院経営として大きな利益といえる。

 このノットワーキングが発展することにより、医療法人の枠からはみ出るほどの知識創造が生まれている。それらを活用し、助け合いネットワークの育成、企業連携、和歌山の食材が持つパワーを最大限に活用し季節に応じた食養生を提案する和歌山薬膳の推進、敷地内の温泉(鉄含有冷鉱泉)などの活用を地域住民と共に考えることを目的とし、2019年4月2日に特定非営利活動法人「 地域の健康とコミュニティを支援する『なるコミ』を開設する運びとなった。この特定非営利活動法人(NPO法人)の役員は、地域で活躍する体操ボランティアや、JAわかやまの職員、和歌山の特産品を扱う会社や地域の社会福祉法人など幅広い分野から構成されている。今後は、この法人格とも協働しながら、医療法人の枠を超えてさらなる地域の結び目作りに貢献し、「健幸長寿わかやま」を目指していきたいと考えている。

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